もどる

すべり止め舗装(ニート工法とは?)

 ニート工法とは、既設または新設のアスファルト舗装、コンクリート舗装面上に、バインダーとして可撓性エポキシ樹脂を薄く均一に塗布し、その上に耐摩耗性の硬質骨材を散布して路面に固着させる工法です。工法としては表面処理工法に位置づけられます。また工事コスト計算などの資料の中では薄層カラー舗装の中に位置づけられます。
  ニート(Neat)とは英語で「手際のいい」「簡潔な」「整頓された」などの意味があります。俗には「すてきな
」「すばらしい」「かっこいい」などの意味にも使われます。また混ざり物のないというような意味で「生の」「ストレートの」という意味にもまれに使われます。

 ニート工法の施工工程はおおよそこのよう(PDFファイル)になります。

 ニート工法によるすべり止め舗装の断面構成は次のようになります。

 実際に施工したサンプル版の断面図では下の写真のようになります。

(1)特徴

 ニート工法は他の表面処理工法と比較して、格段に高い耐久性能を持ちます。理由は骨材を固着させるバインダーに可撓(かとう)性に優れたエポキシ樹脂を用いている点にあります。
  可撓性エポキシ樹脂は衝撃と撓(たわ)みに対してとても強く、重車両の通行などによる磨耗が非常に少ないため、わだちなどができにくくなります。
  また、エポキシ樹脂によって保護された下地の舗装は、温度変化による伸縮があっても割れができにくくなります。こうした特徴は他のアスファルト乳剤や瀝青などを用いた表面処理工や、熱溶融型ペイントを用いた薄層カラー舗装に比べ、格段に高いといえます。
  ただ、溶融式工法に比べバインダー(エポキシ樹脂)の硬化時間が長いため、それだけ交通規制の時間が長くなります。

 さらに、ニート工法に用いる骨材に高い硬度を持つものを用いることで、骨材割れによる飛散(骨材の減少)がなくなるため、すべり止め舗装としては最適であるといえます。

 耐久性は施工前の路面状態(下記注意点参照)や交通量によって異なりますが、積雪のない一般的な路面では6〜7年の耐久性が得られています。北海道のような過酷な条件下でも4〜5年の耐久性を得られます。ただし、局部的な破損は避けられないのが実情で、グレーダーやショベルによる除雪によって、すべり止め舗装の前面部の破損が一般的に見受けられます。破損面積率は6〜7年後で0.2〜3.3%という追跡調査があります。
 アスファルト舗装の表層で使われる開粒度アスコンの耐久性の低さを補填する方法としても、最近はエポキシ樹脂を用いるようになり、ニート工法の需要はますます増えていくと思われます。

 
(2)注意点

 施工上の注意点として、主に下記の3つが考えられます。

  1.雨天時の施工
  2.気温が低い状態での施工
  3.舗装面の状態不良

 1.雨天時の施工
  雨天の時(路面湿潤時)に施工すると、バインダーと舗装面の接着の状態に悪い影響を及ぼし、剥がれの原因となるため、雨天時の施工には不向きです。

 2.気温が低い状態での施工
  外気温が低い状態(路面温度が5度以下)で施工すると、施工後に剥れや割れを起こす原因となりますので、気温が低い状態での施工には不向きです。

 3.舗装面の状態不良
  a) 舗装面にクラック(ひび割れ)が有ったり、
  b) 油分を含んだ状態(新設アスファルト舗装2週間以内)
だと 、施工後に剥れや割れを起こす原因となります。舗装面にクラック等がある場合には、先に舗装面を修正する工事を行なう必要があります。またアスファルト新設舗装の場合には表面に油分が残っているため、舗装完了後約2週間のインターバルをとる必要ががあります。
  さらに、
  c) 冬期に融雪剤等をまいてあるような場所
では、エポキシ樹脂が接着しないため、施工を行ってはいけません。この場合には融雪剤を完全に除去したうえで、施工を行うようにします。